自然環境論コース
自然環境論コースとは
<Last update : 2012.10.01>
 地球規模の環境問題が緊急の課題である今日、自然環境そのものについての解明と理解は、人間活動の維持・発展に必要不可欠なものになっています。本講座は、物質の存在様式や反応についての基礎的研究分野を含め、宇宙から地球、動植物におよぶ自然環境全体について、人間活動との関連を意識した総合的な教育・研究を行います。

自然環境論コースの理念

 環境問題に根本から取り組もうとすると、自然の成り立ちや法則を理解することが必要になってきます。自然環境の問題では、物理とか化学というような従来の枠組にとらわれることなく、取り組む問題によって自分自身のポジションを自在に変えながら、状況に応じた解決策を取ることのできる人材が必要になります。

 「人間への環境としての自然」だけでなく、「自然への環境としての人間」というような新しい視点も必要となるはずです。総合的な視点が特に大事になり、新たな基礎科学研究も必要となってくるでしょう。

 現在は人類が宇宙に足を踏みいれた、いわば宇宙時代の黎明期とも言える時代です。この時代に人類のアイデンティティーを確立するために、宇宙の創成と進化の過程、太陽系や地球の形成の歴史、さらに化学物質の進化を経て生命の誕生と生物の進化に至る壮大な歴史、その中の個々のプロセスを科学的に解明していく必要があります。

総合理学型の教育プログラム

 自然環境論コースでは、化学物質による環境破壊や生物多様性の減少などの身近な問題だけでなく、地上や宇宙空間の様々な場所での物質と生命の多様な現象をその本質から理解するための授業科目を用意しています。伝統的な物理学、化学、地学、生物学などの講義や実験によって物質や生命現象に関する基本的な事実や諸法則を学ぶとともに、科学的な探求方法を習得します。

 このコースの特色は、早くから自分の専門分野を限定せず、自然科学の様々な方法論の基礎を習得することにあります。そこで鍛えられた科学的な手腕と養われた広い視野を活かして、具体的な問題をより深く追求するために、高学年次では環境物理学、物質環境、地球環境、生物環境の4つの教育研究分野から2つを選び、さらに専門的に学習、研究します。

 4年生になると、具体的な課題を決めて研究の訓練をすることになります。その際は、生物学と化学、生物学と地球科学、化学と物理学などの境界領域の研究や理論的な研究、個々の環境問題の背後にあるより基礎的なテーマについての研究も可能です。

さかんな課外活動

六甲山合宿
 2年生になり、自然環境論コースへ配属されて間もない5月の初めに、六甲山YMCAにて合宿研修を行います。卒業までの三年間を共に学ぶ仲間たちとの親交を深めたり、現役の研究者やコースを卒業した先輩研究者の方々の講演を聞いたりして、自分の目指す方向を具体的に考え始める機会です。気候のよい時期ですので、自然観察をしながら六甲山を歩いて発達科学部までの散策を楽しみます。

つくば研究所ツアー
 毎年9月に、つくば市の国立環境研究所NIES、農業環境技術研究所NIAES、宇宙航空技術研究開発機構JAXAなどを見学する「つくば研究所ツアー」を行っています。環境科学研究の最先端を現場で直に見学して、研究者と直接対話できる人気の高いツアーです。「自然環境総合演習」という科目になっており、2、3年生を中心に毎年20名程度が参加しています。国立環境研究所には本研究科連携講座の教授もおられるので、自然環境論コースの先輩たちの中には環境研で研究をしている人もいます。

サイエンスショップ
 入学から4年次に研究室に配属が決まるまでの間などに、学生のみなさんが主体的に取組む研究・探求活動や、大学・大学院で学ぶ専門性を活かした社会活動などを支援するしくみとしてサイエンスショップがあります。サイエンスショップでは、市民と科学者の対話の場としてのサイエンスカフェの開催や、地域課題への取組みに向けた市民と専門家の連携のコーディネートなどに取組んでいます。

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