<自然環境論コーススタッフ研究内容紹介>

寺門 靖高 (教授)

Yasutaka Terakado
(E-mail address:  terakado@kobe−u.ac.jp)


 様々な環境物質の主として無機成分含有量や同位体組成を調べることにより地球環 境の諸問題に取り組んでいます.研究内容の例としてこれまでの卒業論文や修士論文 のテーマを簡略化して記します.

  1. 六甲山系河川水の水質形成過程と岩石の風化過程の解明
  2. 地下水,特に,宮水(リン濃度の高い酒造用地下水)の成因
  3. 河川底質中の重金属元素の動態
  4. 酸性雨の土壌への影響の実験的研究
  5. 地下水・河川水のウラン・トリウム系列放射性核種の分析と放射非平衡の水質解析 への応用
  6. 海水の2倍の塩分を持つ特異な有馬型温泉水の成因
  7. 生物殻(貝殻など)中の微量元素の分析とそれらの古環境解明への応用
  8. 海水,特に大阪湾の栄養塩及び微量元素の動態
  9. 環境ホルモンとして問題になっている有機スズの分析
  10. 古環境の復元や二酸化炭素の挙動と関係する方解石(CaCO3)と水間での微量元素の 分配に関する実験的研究
  11. 微量元素や同位体組成の分析方法の開発に関する研究
  12. 年輪の分析による古環境の復元
  13. 雨水(酸性雨)の地球化学的研究
  14. 堆積物の一年毎の縞模様の解析から古気候変動を探る研究
  15. プランクトンを培養し元素の取り込みを調べる生物地球化学的研究
  16. 岩石・鉱物の成因や起源に関する研究
などがあります. また、レニウム・オスミウム年代測定法に関する研究も行っています。

 研究内容に,歴史性や地域性があることが他の研究領域にない特徴だと考えていま す.また,サンプルの採取のために野外に出かけることが多いこと,特異な化学的性 質をもつ希土類元素を利用して研究を進めている場合が多いこと,また,分析の手法 として超微量元素の精密測定に有効な質量分析計を用いる場合が多いことなども特徴 です.微量元素や同位体の分析は大変手間かかり,注意深い実験操作を必要とするな ど簡単ではありません.しかし,様々な物質に応用することができますので,今後, 学生諸君のアイデアも生かして,上記以外のテーマにも研究範囲を広げたいと思って います.