日時:2009年7月11日(土)15:30−17:00
場所:発達科学部B208号室
植物は,移動能力が欠如しているため,周囲の環境の変動を避けることができ ない.低温,高温,乾燥,強光といったさまざまなストレスによって植物の生育 は制限されるが,この中で,光とそれ以外のストレスは極めて強い相乗効果を示 す.例えば,低温感受性植物を低温にさらした場合,完全暗所ではほとんど生育 に影響が見られない温度処理条件でも,直射日光の1/20程度であっても弱い光が あたっている場合は生育が不可逆的に阻害される.このことは,植物の環境スト レス応答を考えるにあたって,葉緑体と光の相互作用が極めて大きな意味を持っ ていることを示している.植物は生存を光のエネルギーに全面的に依存しており, 葉緑体における光合成反応にとって光が不可欠である以上,植物の環境応答を議 論する上で,葉緑体における光合成の阻害のメカニズム,およびそのような阻害 を避けるために葉緑体が発達させた防御システムを理解することを避けて通るこ とができない.
本セミナーにおいては,環境変動による光合成の阻害のメカニズムを中心に光 合成の環境応答を紹介したい.
多数の方々のご来聴をお待ちしております。
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□ 連絡先:蛯名 邦禎 (人間発達環境学研究科 自然環境論コース)
電子メール:ebina@kobe−u.ac.jp