日時:2009年6月16日(火)13:00−14:30
場所:発達科学部 G302号室 (発達科学部G棟3階)
現在、水分子などの全ての原子を取り入れた全原子生体分子シミュレーションの 標準的な時間スケールはナノ秒オーダーであるが、 並列計算機や分子動力学専用計算機の高度化に伴い、 今後10年ほどでタンパク質やRNAのフォールディング、アロステリック制御、 触媒反応、リガンド結合などが起こる マイクロからミリ秒オーダーのシミュレーションが可能になると考えられている。 一方で、これらのシミュレーションから得られる原子座標の時系列データから 分子機能やその制御メカニズムを理解するためには体系的なデータ解析が必須である。 フォールディングは二次構造や三次構造形成など、 特異的な原子間相互作用の生成消滅過程と考えることができる。 アロステリック制御、触媒反応、リガンド結合のような分子認識も 特異的な原子間相互作用の生成消滅過程とそれに伴う構造変化と考えることができる。 また、分子構造の生じやすさを決定する構造のポテンシャルエネルギーは 個々の原子間相互作用のポテンシャルエネルギーの総和であらわされる。 以上から、原子間相互作用(のポテンシャルエネルギー)を用いたデータ解析により 分子機能やその制御メカニズムが理解できないかと考えている。 発表では原子間相互作用を用いた分子構造揺らぎ解析と その根拠となる統計理論について紹介する。
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□ 連絡先: 田中 成典 (発達科学部 自然環境論コース)
電子メール:tanaka2@kobe−u.ac.jp