日時:2008年12月11日(木)11:00−12:00
場所:発達科学部 B203号室 (発達科学部B棟2階)
S期で複製された染色体をM期で均等に分配することは細胞分裂における重要な ステップであり、染色体が均等に分配されないと細胞の死滅や癌化を引き起こ す。分裂中期において中心体から伸長してきた微小管が染色体動原体と接着し、 染色体が中心体の方向へ引っ張られることで染色体の分配が行われる。微小管と 動原体の接着はランダムに起きるため、動原体と微小管の正しい結合を確立する ためには、誤った接着を修正しなければならない。この修正に関与しているのが プロテインキナーゼAurora Bである。姉妹染色体が両極の中心体から引かれた場 合に発生する姉妹動原体間の張力が、正しい接着のシグナルになっていると考え られている。つまり、コヒーシンによる姉妹染色体間の接着が染色体の均等分配 を保証している。一方で、Aurora Bは分裂後期になると動原体から微小管中央領 域(ミッドゾーン)へ移動し、その後の細胞質分離を制御していることが示唆さ れているが、この局在移動の分子機構の詳細は不明である。
当研究室では、分裂中期において人工的に(強制的に)コヒーシンを除去し姉 妹動原体間に張力が発生しなくさせた細胞が分裂後期に進行することを発見し た。その際、Aurora Bの動原体局在がコヒーシン除去により喪失した。この機構 は、通常起こる分裂後期におけるAurora Bの動原体から微小管中央領域(ミッド ゾーン)への移動に貢献していると考えられる。本セミナーでは、この機構につ いてのその後の解析も含めて紹介する。
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□ 連絡先: 安達 卓 (理学研究科/発達科学部)
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内線: 7743