第191回自然環境論セミナー 
電子伝達蛋白質の立体構造・配列に基づく系統的な解析・分類
長野 希美 氏
(産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター)

日時:2008年8月26日(火)15:10−16:40

場所:発達科学部 G302号室  (G棟3階)

 酸化還元酵素は、電子伝達、ヒドリド転移反応、酸素化反応など、 様々な酸化還元反応を担う酵素である。特に、電子伝達反応を担う 酸化還元酵素の場合、フェレドキシンやシトクロム系蛋白質など、 電子伝達蛋白質を基質・産物として、相互作用し、電子伝達反応を 担っている。こうした電子伝達蛋白質には、活性中心に電子の授受 を行う補酵素やアミノ酸残基が存在している。フェレドキシンの場 合、鉄硫黄系の補酵素を結合し、所謂、シトクロム系の蛋白質は、 ヘムを結合する。フェレドキシンの場合、結合する鉄硫黄クラスタ ーの種類により、様々なスーパーファミリー、フォールドに属して いる。シトクロム系の蛋白質は、現在のように立体構造データが解 かれる以前に、結合しているヘム化合物の種類や分光学的な手法で 分類がなされており、シトクロムa、シトクロムb、シトクロムc、 シトクロムdというように、大別されていた。しかしながら、近年、 こうした蛋白質の立体構造が解かれると共に、同じシトクロム群の 蛋白質でも、様々なスーパーファミリー、フォールドに属しており、 ドメイン構成が異なることも分かってきた。ただし、国内外の酵素 関連データベースでも、酸化還元酵素の基質・産物となる電子伝達 蛋白質の種類などが詳細にアノテーションされていないケースも多々 あることが分かっている。我々は、フェレドキシンやシトクロムc などの主要な電子伝達蛋白質を立体構造や配列などを基にクラスタリング を行い、機能との関係などを解析し、分類を進めており、 本講演ではその内容を紹介する。

※ 過去の自然環境論セミナーの記録は こちら, その他の案内は こちら をご覧ください.

□ 連絡先:田中成典 (発達科学部 自然環境論コース)
  電子メール:tanaka2@kobe−u.ac.jp