第178回自然環境論セミナー 
海洋環境変動 −過去・現在・未来−
川幡 穂高 氏
(東京大学海洋研究所)

日時:2007年9月28日(金)13:30−14:30

場所:発達科学部 (部屋は未定)

地球の気候が温暖化している可能性が高い.気温上昇の原因は 二酸化炭素などによる温室効果で,大気中の二酸化炭素濃度は上昇し続けていて, 2100年には約2℃上昇すると予測されている. 気候変動は自然・社会経済に 多大な影響を及ぼすだろう.例えば,陸上では,全森林面積の1/3で 何らかの変化があり,食料生産は増産地域・減産地域が生じる. このような問題を回避するため,地球温暖化を防ぐ手だてを講じる必要が あるとのことで,1997年12月に,国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議 (COP3)京都会議で京都議定書が採 択された.これは,先進国全体で, 温室効果ガス6種類の排出量を,1990年レベルから平均5.2%削減するという 目標を決めている.さて,1kcal得るのに排出される二酸化炭素の量は, 石炭→石油→天然ガスの順に小さくなっていく.そこで,先進各国は, 化石燃料間の二酸化炭素排出特性を考慮して,天然ガスの割合を増加させている. 一方,究極埋蔵量は,この逆の順になっている.石油の可採年数は 40年位の状態が続いてきたが,現在のところ油田地帯として有望な所は ほとんど調査されてしまっている. このため,大規模な油田が将来発見される確率は減っている.これらは, 「容量の限界」と言葉で端的に表わされるが,21世紀も化石燃料に頼った 社会システムを継続する限り,「温暖化の環境問題」と「資源の問題」の 両方の問題が密接にリンクしながら進行していく時代と考えられる.

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□ 連絡先:寺門 靖高 (発達科学部 自然環境論コース)
  電子メール:terakado@kobe−u.ac.jp