第174回自然環境論セミナー 
NOxの一つ一酸化窒素を変換する酵素チトクロームP450norの反応機構解析と その酵素機能の応用について
塚本 弘毅 氏
(産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター)

日時:2007年8月31日(水)15:10−16:40

場所:発達科学部 G302号室  (G棟3階)

カビの一種Fusarium oxysporumから生成されたヘム酵素チトクロームP450nor(P450nor)は、 一般的なチトクロームP450(P450)とは異なり、一酸化窒素を亜酸化窒素へと 変換する反応を触媒する。その触媒反応のターンオーバー数は、 1秒間に1200回以上と、一般的なP450が10回程度であることに比べて大変高速である。 この様にユニークな反応性を持つ為、その反応機構について実験による 様々なアプローチが行われた。 しかしながら、P450norの反応中間体は、ライフタイムが非常に短く、 電子構造もESRなどではサイレントである為、実験アプローチによる 反応中間体の詳細な構造を明らかにするのは難しかった。 そこで、本研究では量子化学計算を用いて、このユニークな反応性をもつ P450norの反応機構の解析を行った。更に、上記反応機構で得た知見を生かし、 P450norが触媒する一酸化窒素が大気汚染物質NOxの一つであることに着目して、 P450norと同等の機能を持ち、大気浄化を目的とした人工酵素が作れないかと 模索中である。セミナーでは、P450norの反応機構解析と共に、 人工酵素の設計の模索中に開発した ”ヘムビーズ”についてもお話しする予定である。

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□ 連絡先:田中成典 (発達科学部 自然環境論コース)
  電子メール:tanaka2@kobe−u.ac.jp