第173回自然環境論セミナー 

長野 希美 氏
(産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター)

日時:2007年8月28日(火)15:10−16:40

場所:発達科学部 G112号室  (G棟1階)

酵素の立体構造、リガンドの化学構造、酵素とリガンドの相互作用など 様々な角度から酵素の触媒機構を詳細に理解することで、 酵素に特有な阻害剤・活性化剤などをデザインすることが可能になると考えられる。 しかしながら、酵素にまつわる情報学はまだ充分に整理されているとは言えない。 従来の酵素の分類であるEC番号は、 主に基質・産物の化学構造や触媒反応に関わる補酵素などに基づいて分類が行われており、 触媒機構において重要であるタンパク質の配列情報や立体構造に関する情報が 全く考慮されていない。 こうした問題点を踏まえ、触媒機構を決定する要因や、酵素とリガンドの反応部位に特に注目し、 酵素触媒機構の系統的な分類を行う酵素触媒機構データベース: EzCatDB((URL:http://mbs.cbrc.jp/EzCatDB/))を開発している[参考文献(1)、(2)]。 このデータベースでは、(1)基本反応、(2)リガンド反応部位、(3)触媒機構、 (4)酵素側の触媒残基、(5)補酵素の種類、 というように階層的に酵素触媒機構を分類している。

参考文献

  1. Nozomi Nagano (2005) Nucleic Acids Research, 33 Database Issue, D407-D412.
  2. Nozomi Nagano, Tamotsu Noguchi, Yutaka Akiyama (2006) PROTEINS: Structure, Function, and Bioinformatics. 66, 147-159.

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□ 連絡先:田中成典 (発達科学部 自然環境論コース)
  電子メール:tanaka2@kobe−u.ac.jp