日時:2007年5月18日(金)15時10分−16時40分
場所:発達科学部 G302号室 (G棟3階)
現在世界の人々の関心はいやおうなしに「環境」に向けられており、 すべての産業はグリーンケミストリーという合言葉のもと、 環境に優しい方向に進まざるをえなくなっています。これは化学産業について考えると、 不要なものをどれだけ環境中に放出せずに製品を作り出せるかということに 直結しています。 従来の「高温高圧の反応条件を多用し、余剰試剤や副産物は別途処理する」 対症療法的技術から、「温和な条件にて反応を実施し、製造過程においても廃棄物を 極力ださない」抜本的な技術開発への移行が必要となっています。 このような要求に対して私は、生体触媒を用いた物質生産に注目しています。 特に我々の身の回りで用いられている化学物質の中には、その効能を発揮するために 光学的に純粋なかたちにて提供されなければならないものも多いため、 どのように効率よく光学活性体を調製できるかについて検討を行っています。 今回の講演では、生体触媒を用いてラセミ体から光学活性体を化学収率100% かつ原子効率100%にて生産する方法について紹介すると共に、酵素タンパク質に 本来とは違った機能を見出し、 その触媒活性を効率のよい物質生産に結びつけようという試みについて紹介します。
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□ 連絡先: 田中 成典(発達科学部 環境基礎論講座)
電子メール:tanaka2@kobe−u.ac.jp