第164回自然環境論セミナー 
階級社会と村の発生を物理学で捉える
小田垣 孝 氏
(九州大学大学院理学研究院)

日時:2006年12月27日(水)13時30分−15時00分
場所:発達科学部 大会議室  (A棟2階)

 文明が発展すると共に人間の社会には、階級が出現した。最近注目されて いるフラットな社会においても、上下関係が自然に生じる。一見複雑と思え る社会構造の出現を単純な競争アルゴリズによりモデル化し、物理学の手法 を用いて個々人の行動様式と社会構造に密接な関係があることを示す。

 各人が戦いを避ける平和主義民族では、人口密度を増していくと、まず中 間層と敗者からなる階級社会が出現し、ついで中間層の多くが勝者となる階 級社会へと移行する。平均場近似に基づいて、最初の転移は連続的であり、 第2の転移が不連続的であることを示す。このとき生じる階級格差は、ラン ダムな行動をする民族において生じるものより拡大される。

 また、各人が常に強者に挑戦を挑む好戦的民族では、低い人口密度でも階 級社会が生じ、少数の勝ち組の周りに負け組と中間層が群がるような村が形 成される。さらに、どの村においてもその社会構造はほぼ同じであることが 示される。

 階級社会は、戦いを頻繁に行うことから生じ、安易な再チャレンジはかえ って格差を拡大させることを示唆する。

※ 多数の学生・教員・一般の皆様のご来聴をお待ちしております.
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□ 世話人:蛯名邦禎 (発達科学部 人間環境学科)
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