第156回自然環境論セミナー 

環境物理学の構想と課題

蛯名 邦禎 氏
(神戸大学 発達科学部)

日時:2006年6月26日(火)13時20分−14時50分
場所:発達科学部 G112  (G棟1階)

 環境問題に向かうにあたって,自然科学に課せられた重要な課題の一つに, 複雑な系における将来予測の問題において,何が確実に言えるかを明確にする ことがある.この要請に対して,自然科学から,どのような解答が可能だろうか.

 この問題を物理学の立場から,すなわち,物事を最も根源から徹底的に 追究する窮理学の立場から考え,これまでのところ,将来予測に関して, 何が確実に言えるか,これから何を探究する必要があるかを考察する. 確実な「法則」としての保存則の強力さと限界について議論し,物事の 時間発展原理として

   (a) 力学原理,
   (b) 統計原理,
   (c) 生命情報原理,
   (d) 意図的行動原理

について検討し,これまで何が既知であり,何が未知であるかについて考察する. その考察に基づいて,今後の「環境物理学」としての研究課題をいくつか提案する. また,6月12日−16日に京都大学基礎物理学研究所で行われた研究会「環境物理学 ―先端境界領域の創出へ向けて」で提起された問題を紹介する.また,これらの 課題を追究することによって,物理学自身が鍛えられ,17世紀における力学の勃興, 19世紀における熱学の展開などに劣らない21世紀における新たな物理学の発展の 可能性を議論する.

 ニュートン,カルノーに続き21世紀の知の開拓者になるのは君だ.

※ 多数の学生・教官・一般の皆様のご来聴をお待ちしております.
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□ 世話人:田中成典 (発達科学部 自然環境論講座)
        e-mail: tanaka2@kobe-u.ac.jp
        TEL: 078-803-7752