第121回自然環境論セミナー

「薬学計算科学と情報科学」

中馬 寛 氏 
(徳島大学大学院教授・ヘルスバイオサイエンス研究部・ 生体情報薬科学部門・分子情報薬学講座・薬品分子分析化学分野)

日時:2005年3月15日(火) 15時20分〜16時50分
場所:神戸大学発達科学部 G302号室 (G棟3階)

概要

 各種の分子科学計算とシミュレーションは、いまや実験室の枠を超え、 創薬においても不可欠なアプローチの一つとなりつつある。近年の飛躍的 な計算機能力の増強と理論・計算科学の方法の発展により,生理活性分子 の活性・機能の発現メカニズムの電子・原子レベルでの本格的解明も照準 に入りつつあり,創薬理論化学により「非経験的にデザインされた薬物」 の出現も夢ではなくなっている。しかしながら,未だなお生体現象を ブラックボックスとして取り扱わざるを得ない状況も多くあり,従来の 薬物分子の物理化学的特性値にのみに着目した定量的構造活性相関解析 (QSAR) 法によるアプローチもきわめて有用であることが知られている。 当面は分子科学計算とシミュレーションとQSARの「折衷的アプローチ」 を用いることが実際的であると考えている。この一環として両者の物理 化学的見地からの関係を明らかにする幾つかの研究例を紹介する。

また、社会からの要請が大きく、かつ今まであまりQSAR・情報化学による アプローチのメスが入っていない薬物の吸収・代謝・毒性に関する幾つか の研究例を紹介する。

世話人: 田中 成典
  e-mail: tanaka2@kobe-u.ac.jp

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