その中にあって私たちは，宇宙・地球・生命やその構成要素である物 質に関係した環境の問題について，基礎科学の立場から根元的に，また 従来の学問領域の枠を超えて総合的に取り組むために「自然環境論講座」 を組織し，また，そのように取り組む能力をもった学生を育てることを 目指して「自然環境論コース」を開設いたしました．

　環境の問題は，いろいろな要素が複雑に絡み合っており，広い専門分 野の研究者間の学際的な協力なしには解決することが困難です．また， そのためには自分の専門領域以外の広い分野について理解したり，他分 野の専門家と討論したりする能力が要求されます．自然環境論講座は， 物理学，化学，地球科学，生物学とその周辺領域を研究する 18 人の研 究者からなりますが，それでも十分に広い分野の教育をカバーできてい るとは言い切れません．しかも，その研究領域は，どちらかというと基 礎的な部分に重点があり，現在各企業の研究所等で先端的に取り組んで いる実践的・具体的な問題について，必ずしも十分に学生に紹介してい ける体制にはありません．

　これらの点を補うために，広く企業や公的研究所および他大学等から， 自然環境及びその周辺領域で活躍されている研究者を招聘して，私たち の教育と研究の活性化を図ることができれば極めて有意義だと考えます． そのために，私たちは自然環境論講座の教官と自然環境論コースの学生 とからなる「自然環境論研究会」を設立し，産業界や各種公的機関や諸 大学等からのご協力を得て，新しい理念での教育・研究活動を推進して 行きたいと思います．

• 企業等で実践的・先端的な研究を行っている研究者に，主として自 然環境論問題への実際的対応の立場から，「先端セミナー」をお願いする．
• 自然環境論コースの学生により広い基盤からの教育を提供するために， 他大学・研究所等の研究者に，主として周辺領域の理解を深めるための 「基礎セミナー」をお願いする．

　この他に，次のような活動を行うことも計画しています．

• 上記のセミナー・シリーズの内容と本研究会の活動を報告書として まとめ，関連企業・研究所等に配布し，本研究会の意義を広く知ってい ただくと同時に賛同者（組織）の拡大をはかる．
• セミナーの報告書の実績を踏まえ，３年後ぐらいを目処に『先端自然 環境科学（仮称）』を出版する．いくつかのトピックスについて，企業の 研究者などに執筆を依頼し，本研究会で編集する．
• 自然環境科学の教育・研究・情報の新しい発信地をめざす．すなわち， アカデミックな情報交換の場を創出することにより，企業間および企業・ 大学間の研究の橋渡し役を行い，新領域研究分野が発展するよう努力する． さらに，本研究会の教官・学生からそのようなプロジェクトへ参加したり， 新たなプロジェクトを立ちあげていくことを目指す．

自然環境論研究会
上地真一（発達科学部自然環境論講座）
TEL: 078-803-0919, FAX: 078-803-0261

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