環境問題への経済学的アプローチ ごみ問題を例に
竹内 憲司 氏
(神戸大学大学院経済学研究科)
日時:2003年10月14日(火曜日)午後5時20分〜6時50分
場所:発達科学部 G302教室 (G棟3階)
「環境問題の解決には,私たちひとりひとりの心がけが大事です」という 物言いがある。残念ながら,心がけや道徳心で解決するほど,環境問題は生 やさしい問題ではない。こうした物言いは,利他心や倫理に従って行動する 個人を暗黙のうちに期待しているが,現実の世界に住む人たちは,そんなに 立派な人ばかりではない。楽をしたい。損はしたくない。そういう普通の人 が大部分である。地球では,そういう普通の人たちが,会社で働いて生産活 動を行ない,商品を買って消費活動を行ない,ゴミを捨て,二酸化炭素を排 出し,日々を暮らしている。 そうした普通の人や普通の人々が働いている企業に,環境を汚染しないよ う促すにはどうしたら良いだろうか。環境問題を扱う経済学である「環境経 済学」は,インセンティブ(経済的動機付け)がその鍵を握っていると考え る。環境を汚染しない方が得になるような仕組みを作れば,道徳心の向上に 頼ることなく,人々や企業の行動を自然に変えることができるかもしれない。 環境経済学は,人々の利己心や企業の利潤動機を非難するのではなく,それ をうまく活用して,個々の経済主体が持つ目的を社会全体の目的に合致させ るような仕組みを考えるのである。本セミナーでは,環境経済学について, ごみ問題を例に取り上げて紹介する。
□連絡先:蛯名邦禎 (発達科学部自然環境論講座)
e-mail: ebina@kobe-u.ac.jp
voice: 078-803-7754
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